黒尾さんが元気のないときにする10のこと
1.口数の少ないとき、少し上の空のとき、喉に魚の骨が刺さったような顔をしているときは注意する。
(年上のあなたは。そうかんたんには弱いところを晒さないから)

2.背中を見つめて、見極める。
(呼びかけて、まだ何も訊いてないのに何でもないよって顔したら、はいアウト)

3.傍に近寄ったらどうしたのって訊かれるけれど、まだ何も言わないで。
(甘え下手なあなたに代わって俺ができること)

4.そのまま頭を引き寄せて、包み込んでぎゅっとする。
(ごまかしてもいいけど、もう少ししたら観念してください)

5.「……なに落ち込んでるんスか」
(一人で抱え込むのは悪い癖です)

6.「まったくもう」
(年下舐めんなよ)

7.平気だよって頬すり寄せて、俺の背中に手を回してくれたらもうひと押し。
(やっと甘えてくる俺よりもでかい男のことを、かわいいと思うのはひみつ)

8.「黒尾さん、」
(今なら俺にも見えません)

9.「くろおさん」
(何度だって呼んであげる)



10.いつだって、そばにいる。



fin.(2016.6.15)
6月のクロ赤の日、前回の更新の赤葦視点のもの。
最初書きあがったとき、5.6が違ったのですが、ちょっとしおらしいかなと思って書き直したらしっくりきて、いつもウチの赤葦になりました。(笑)
赤葦は、年下らしく年上を立てることが自然と身についている感じがするのですが、こういうときのさじかげんはとても上手いんじゃないかなあと思います。立てつつ、でも、遠慮すべきじゃないところは躊躇しない。
これがただの先輩後輩の仲だったら、立てて終わり、と言う気がしますが、やっぱり恋人だからかな、甘やかしてもらっているけど対等であるっていう意識もふつうに持っているというか、そこが赤葦の男らしさだったり、しっかりしている部分かなと思います。
黒尾視点のを書いているときに、もうなんとなく、赤葦はこんな流れだろうなというのが頭にあって、黒尾はこういう手順をわりとまじめに考えていそうなタイプだなと思うのですが、赤葦はそういうところちょっと適当というか、順番なんてそんな細かく考えなくても大丈夫でしょ、という自負があるような気がして、おもしろいなあ、そういうの自然と8,9あたりに出て、赤葦らしいなってちょっと笑ってしまいました。
“いつだって”というまっすぐで簡潔な一言にも、赤葦の性格や想いがはっきり表れている気がして、短いなかに互いの個性が出てるのってほんとおもしろいです。
This fanfiction is written by chiaki.